ブックタイトルPIPE SUPPORTS 管系支持装置

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概要

PIPE SUPPORTS 管系支持装置

6 メカニカル防振器6・1 メカニカル防振器の特性と機能メカニカル防振器は原子力発電プラントの配管や装置の耐震用として特に開発された製品であります。今までの油圧防振器を放射線雰囲気で使用する場合は、有機化合物である作動油、シール材の健全性を常に保障する必要がありました。そのために毎年1回の定期検査と少なくとも5年に1回の作動油およびシール材の交換が行なわれてきました。また保守点検のための足場が困難な高所や高温、放射線雰囲気での使用はいろいろな制約を受けているのが現状です。メカニカル防振器の機構は総て機械的な部品で構成されておりますので、放射線によって性能が変化する心配はありません。耐震設計上の取扱いは今までの油圧防振器と同様です。① 熱膨脹などによる移動抵抗は微少です。② 地震などによる振動に対してはその変位を拘束します。③ 抵抗力発生の媒体に油を使用しないので漏洩の心配がありません。④ 保守点検が最小です。6・2 作動原理ボールナットの往復運動をボールねじを介して等価質量の回転運動に転換することが基本原理です。今、ボールナットに往復運動(振動)が加わると、ボールねじは回転を開始しようとしますが、等価質量の慣性によって、回転が阻止されるため、ボールナットは往復動ができず外力に対抗する荷重が発生します。これを式で表わすと、Mα=F M:等価質量α:入力加速度F :発生荷重の関係となり、αが小さい時(ゆるやかな振動)はFが小さく、極めて小さな抵抗力で自由に追従し、その逆の場合は大きな抵抗力で往復動に対抗します。(図4・13)図 4・13 作動原理図6・3 メカニカル防振器の構造メカニカル防振器の構造は、その持っている機能から、3つの主要素に大別されます。① 配管や機器の運動を直接伝達する部分② 運動の変換(ボールねじ)によって回転する部分③ アタッチメントを接続して建屋に取付け、地震反力などを受け止めるハウジング部分 詳細な構造は図4・15によります。6・4 メカニカル防振器の特徴メカニカル防振器の構造、強度設計は次の規格に従って設計しています。① 日本工業規格(JIS)② 鋼構造設計基準(日本建築学会)③ 日本機械学会「発電用原子力設備規格 設計・建設規格」(JSME S NC1)およびASME Section Ⅲ Subsection NF更に、メカニカル防振器は以下の条件に対して機能を満足することが要求されます。① 設置箇所(取付配管系)の耐震上のそれぞれのクラスに対応する機器であること。② 地震時のその他の振動時(ウォータハンマ、安全弁吹出等)における配管や機器の振動を拘束する。ただし、熱膨脹による移動はこれを拘束しないこと。③ 環境温度21℃~93℃の範囲で正常に作動すること。28