ブックタイトルPIPE SUPPORTS 管系支持装置

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概要

PIPE SUPPORTS 管系支持装置

1 管系支持装置の役割一般的にパイプハンガと総称されている管系支持装置は後述の(3.管系支持装置の分類)の通り、用途に応じた数多くの種類があります。これらの管系支持装置を適切に使用することは複雑な変位を示す高温(或は低温)の配管系に対し、設計上必要な条件で配管自重を支持し、熱変位に追従し、あるいは適切な拘束を行い、なおかつ、地震時等による配管系の振動を防止・減衰することとなり、配管系を簡潔に経済的に設計することを可能にしています。複合荷重条件下での配管設計が求められる現在では、管系支持装置の配管系との有機的な結合を図る事が配管系の安全性、経済性を追求するために不可欠な要件です。管系支持装置に起因したプラントの重大事故が今日までなかったことは幸いです。しかし管系支持装置の適用を誤り、または維持管理の不備からその機能を果せない状態が生じた場合、その結果は配管の機能を損い、プラントの緊急停止といった事態にもなりかねません。これからの配管設計・管系支持装置設計はそれぞれ独立したものではなく、総合した知識を持って検討しなければなりません。また、管系支持装置の適切な維持管理を行なうことが必要であり、この維持管理のデータから配管・機器の経年的な傾向を把握することが可能となります。2 配管及び管系支持装置に生ずる現象2・1 管系支持装置に要求されるトラベル管系は温度変化に伴う、熱移動によって三次元の空間で変位しますが、この変位の鉛直方向、軸方向、軸直角方向の各成分のうち、一番重要なものは鉛直方向の変位です。一般に熱膨脹による変位をトラベル(TRAVEL)といい、それぞれ軸方向のトラベルの成分を Tx軸直角方向のトラベルの成分を Ty鉛直方向のトラベルの成分を Tzという表現を使用し、単にTzをトラベルといっていることもあります。トラベルは管系の冷間時の中心線(点)を原点にとって、Tx、Ty、Tzを計算し表現するのが一般的であり、管系支持装置は、その取付位置を原点として、そのトラベルを決定しなければなりません。従って管系支持装置に要求される最大トラベルは、使用条件や取付場所を考慮の上、管系のトラベルとはっきり区別する必要があります。図1・1はこの関係を示すもので、同図において、Oc点:冷間時の管の中心点Oh点:運転時の管の中心点P 点:支持装置の取付位置T :管系のOc点を原点とする総合トラベル図 1・1Tx、Ty、Tz:Tのx、y、zの方向の成分Lc:支持装置の取付位置から冷間時の管中心までの距離Lh:支持装置の取付位置から運転時の管中心までの距離とすると、 T2=Tx2+Ty2+Tz2 Lh=√(Lc+Tz)2+Tx2+Ty2 Th=Lh-Lc即ち、Thが管系支持装置に要求されるトラベルとなります。1. 管系支持装置の基本5